モダン開発経験がない、をどう補うか——転職前90日の現実解
「うちはずっとウォーターフォールで、アジャイルの経験がないんです」。SIer出身の方から最も多く聞く不安のひとつです。まず申し上げたいのは、これを理由に応募を諦める必要はないということ。ただし、何もしなくていいという意味ではありません。補い方には明確な優先順位があります。
1. 最優先:生成AIを業務に組み込む(これが一番効く)
意外に思われるかもしれませんが、2026年の面接でアジャイル経験の不足より厳しく見られるのは、AI活用の解像度です。そしてここは、今の職場がウォーターフォールでも今日から埋められます。
- 要件整理・議事録・設計書のレビューに生成AIを組み込み、「何をAIに任せ、何を人が判断したか」を言えるようにする
- 小さくてよいので、AIを使って自分でプロトタイプを作ってみる(いわゆるバイブコーディング)。PMが動くものを自分で作れる時代になったこと自体を体感しておく
「AIで業務をこう変えました」と具体的に語れるSIer PMは、アジャイル経験の有無を軽く越えて評価されます。これは僕の体感値ですが、確信に近いものがあります。
2. 次点:スクラムを「知識+擬似経験」まで持っていく
- スクラムガイド(無料・短い)を読み込み、自分のWF案件を「もしスクラムでやるなら」で再設計してみる
- 認定資格(CSM等)は「本気度の証明」にはなるが、それ単体で通るものではない。優先度は中
- 現職の中で反復に近い要素——保守運用の改善サイクル、段階リリース——を探して「反復開発に近い経験」として言語化する
3. やらなくていいこと
正直に言うと、30代後半以降の方がゼロからプログラミングスクールに通って「エンジニアとしての実装力」を身につけようとするのは、多くの場合、投資対効果が合いません。求められているのは実装者になることではなく、技術的な議論についていける理解とAIで自分の手を動かせる感覚です。ここを混同すると90日を浪費します。
4. そもそも、ウォーターフォールは恥ではない
誤解がないように申し上げると、大規模基幹系を計画どおり完遂する規律は、アジャイルの現場にこそ不足している能力です。ITコンサル・PMO・エンタープライズ向けプロダクトでは、WFの完遂力はそのまま武器になります。「WFしか知らない」ではなく「WFを完遂でき、反復型も理解し、AIを使える」という三点セットに仕立てるのが現実解です。
(結論) 90日の配分
①生成AIの業務組み込みに50%、②スクラムの知識化と現職経験の読み替えに30%、③応募書類・語りの再構築に20%。実装スクールはゼロで構いません。経験の不足は、埋め方の設計で十分に戦えます。
PM・PM隣接職に特化した人材紹介「PM Quest」を運営。IT人材業界20年、ギークリー創業を経て現職。個人として通算4,200名のキャリア面談を実施してきた経験に基づき監修しています。本文中の年収・難易度等はPM Quest独自ガイドの目安値であり、個人の経験・企業により変動します。
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